超高エネルギーガンマ線天文学
1012 eV(テラ電子ボルト、TeV)ものエネルギーを持つ 超高エネルギーガンマ線を放出する天体を観測します。地球上では実現できない極限環境と激しく活動する天体現象を調べ、 宇宙線の起源に迫ります。大気チェレンコフ望遠鏡と呼ばれる装置を何台も並べ、複数の方向からシャワーを見る「ステレオ観測」という手法で、 精度良くガンマ線の到来方向やエネルギーを測定します。
1012 eV(テラ電子ボルト、TeV)ものエネルギーを持つ 超高エネルギーガンマ線を放出する天体を観測します。地球上では実現できない極限環境と激しく活動する天体現象を調べ、 宇宙線の起源に迫ります。大気チェレンコフ望遠鏡と呼ばれる装置を何台も並べ、複数の方向からシャワーを見る「ステレオ観測」という手法で、 精度良くガンマ線の到来方向やエネルギーを測定します。
数10 GeVより高いエネルギーのガンマ線が地球大気に入射すると、空気シャワーという現象を起こします。入射ガンマ線はまず約10 km上空で大気中の原子核と相互作用し電子・陽電子対生成を起こします。電子も陽電子は空気中の原子核とクーロン相互作用により加速度を受けて散乱し、制動放射として新たなガンマ線を放射します。散乱した電子・陽電子は制動放射を続けながらエネルギーを失っていきます。制動放射のガンマ線は新たな電子・陽電子対の種となります。結果として、1つの高エネルギーガンマ線から、指数関数的に膨れ上がった数の電子・陽電子・ガンマ線が生まれ、これを空気シャワーと呼びます。
また、空気シャワー中の電子や陽電子は、空気中の光速よりも速く運動します。そのときにチェレンコフ光と呼ばれる光が、粒子の進行方向である地表へ向かって放出されます。
空気シャワーで発生したチェレンコフ光を、地上に設置した望遠鏡で撮像します。
宇宙線を生成する天体の観測的研究を続けています。 私達が住む天の川銀河の中にも 超新星残骸やパルサー星雲、マイクロクェーサーなど宇宙線を加速する多種多様な天体が存在しています。
宇宙線が存在する天体は、電磁気学や素粒子物理学が教える過程によりガンマ線を放出します。
図は宇宙線を作っていると考えられている若い超新星残骸のシミュレーション画像で、CTAがガンマ線を観測するとこのような画像が得られると期待されます。画像分析だけでなくエネルギー分布や他の波長データとの比較など様々な手段を講じ、天体や宇宙線の様子を物理学に基づいて想像します。
そして、地球近傍で観測されている宇宙線はどこでどのように生まれ、どのようにして地球に到達するのかという問いに挑戦しています。